2022.09.25
年間180本ぐらいのライブを3年間ずっとやってました。
──音楽を始めたきっかけは?
鈴木 私のおばあちゃんが大の歌好きで、おばあちゃんの家にあったレーザーディスクのカラオケで小さい頃から歌ってました。歌で生きていこうって目指したのは中学生からなんですけど、中学3年生の時にキャロル・キングを聴いて、「こんなふうに曲を作って歌えるようになっていきたい」っていう想いがあって、ギターを弾きながら歌い始めたのがきっかけですね。
──ギターはその時に始めたんですか?
鈴木 その時ぐらいからですね、まずは人と違うことをやりたいっていうのがあって。「カラオケで人の曲ばっかり歌うのも嫌だな」と(笑)。キャロル・キングさんはピアノなんですけど、ギター版のシンガーソングライターになりたいと思って、やり始めました。
──最初から曲作りを?
鈴木 カーペンターズ、キャロル・キング、スティーヴィー・ワンダーなどの洋楽ポップスをカバーしてて、それから自分の歌も作りたい……という感じでしたね。
──高校では? バンドとか?
鈴木 それがですね、なんか独りが好きだったみたいで(笑)。合唱部と軽音楽部には一切入らず、高校3年間はずっと弾き語りのライブ活動をしていましたね。愛知県に住んでたんですけど、母と一緒に東京とか大阪とかいろんな地域を回って一日何本もステージしたり……。年間180本ぐらいを3年間ずっとやってました。
──すごく理解があって応援してくれたんですね。
鈴木 そうですね、はい。
──ライブは、おもにイベント出演など?
鈴木 そうですね。自分たちからブッキングをお願いしますと言いに行って。そこから「こういうのもあるよ、ああいうのもあるよ」っていう人の輪が広がって、ライブに出させていただく機会が増えた感じですね。あとは、それにプラスして路上ライブという感じでした。路上ライブも高校生からですね。地元がメインでやり始めて、ライブで行く先々でちょっとやったり、みたいな。
──まだ路上ライブをSNSで拡散して、みたいな時代じゃないですよね。
鈴木 そうです、そうです。まだホームページもままならないものがあったくらいで、それこそライブのチラシをみんなに渡してっていう程度です。
──キャロル・キング以外で影響を受けた、好きなヴォーカリストは?
鈴木 カレン・カーペンターズとか好きでしたね。あの低音部分から高音までのきれいに流れるような声がすごく好きで、それはもう今もずっと変わらない感じですね。自分が黒人っぽいソウルフルなものを歌わないからっていうのもあると思うんですけど、けっこうきれいな声の人を好きになってしまいます。
大学4年間は「音楽と向かう時間は1日8時間」!
──ヴォイストレーニングの経験は?
鈴木 小学校からいろんな先生のもとで指導していただきました。最初は何かよくわからず行っていた感じはあるんですけど、大きくなってきて歌い方とかに悩んでるときに、たまたま出会って「この先生にちょっと指導してもらいたい」っていう感じで受けて。一回離れて自分だけのものにして……。で、また悩みができたときに習って、みたいな。あとはやっぱいろんな人のトレーニング方法が違うので引き出しがいっぱいできるというか、その人それぞれの指導法があるじゃないですか。そういうのはちょっと気になって。
──その後、大阪芸術大学に進学されたんですよね。学科は?
鈴木 ポピュラー音楽コースのヴォーカル専攻です。ポップス、ジャズ、洋楽を多くやりました。そのときに自分の中で、「こんなに歌うって大変なんだ」っていうのを気づかされた感じはありましたね。練習して行っても「ダメ、次行かせない、進ませない」みたいな厳しい先生だったんです。それで「絶対に次へ進みたい」な感じで練習をずっとしていましたね。大学4年間は「音楽と向かう時間は1日8時間」と決めていて、いろんな楽曲を聴き、毎日スタジオにひとりで籠もって歌の練習と作曲をしていたんです。そこで自分のヴォーカル力が少しパワーアップしたかなと思います。だんだん音域が広くなってきて、高いほうの音域をうまく出せるようになったんです。
──大学卒業後は?
鈴木 それから東京へ出てきて音楽活動を始めました。そこで今回『歌スク』講師にも参加していらっしゃるパリなかやまさんと出会って、酒場で「流し」をやり始めたんです。気づいたら3年間ほとんど毎日歌ってたんですよね。流しっていろんな雑音の中で歌うので、知らず知らず前に前にと声を出してしまっていた時期があって……。そのあと2019年にTV番組の『THEカラオケ★バトル』(テレビ東京系)に出演したんですが、周りが皆さんプロの人たちの中に私が入った時に、自分の歌い方にちょっと青ざめてしまい……。まあ、結果は良かったものの、なんか、歌が雑になってたんですよ。
──実際に、この大会で優勝されているのに?
鈴木 はい。そこですごくショックを受けて。ある大物アーティストのスクールに行ってみたのですが、そこでダメ出しをされまして……。「よし、歌い方をもう一回、全部変えよう!」と。その方に教えてもらいながら、今に至るって感じですね。
──まだ歌い方を変えている途中なんですか?
鈴木 そうです。『THEカラオケ★バトル』に出たあと、一瞬ヘタになりながら変えていったんですけど、放送と今を比べて見ると「これ1年前じゃないよね? 歌い方が全然違う!」と他の人にもわかるくらい変わっていきました。自分では声の出し方とか、かなり良くなったと思ってるんですけどね(笑)。
──逆に、流しを3年やって良くなったことって?
鈴木 声量ですかね。あとはどれだけ歌ってもほとんど疲れない身体にはなりました(笑)。1日60曲とか歌うときもありましたし、それでも枯れない喉を作ったのは流しのおかげかなと思います(笑)。
──今、ミュージシャンとしての活動としては?
鈴木 ライブを月に何本かやってるのと、あとは制作のほうがちょっと多いかなという感じです。
子供たちに「音楽は楽しいものだ」って伝えたいんです。
──そんな活動の中でトレーナー、そしてヴォーカル教室をやろうという思いが生まれたのは?
鈴木 コロナ禍になる前ですが、さっき話したように歌のトレーニングをし始めて自分が変わっていくのを知っていき、流しの活動を減らしながら、「何か違うことができないかな?」というのをすごく考えてたんですよ。そんな時に、知人の紹介で「小学生の姉妹に家庭教師として音楽を教えてもらえないか?」っていう話が来たんですよね。その子たちには歌いたいっていう目標があったので、「私にできることがあるなら、ぜひ!」っていうことで、出張レッスンから始まったんです。そこから生徒さんの輪が広がり、気づいたら毎日出張し始めちゃってて(笑)。自分のメソッドとかレッスンの仕方がこんなにも喜ばれてるんだって気づいたので、「それじゃあ場所を構えてやってみようかな」と思ったのが2年前ですね。そこから田町という場所にスタジオを作って始めました。
──すごい行動力ですよね。そのLadybird Music Labには、先生が何人もいらっしゃいますが、どういう形で声をかけていったんですか?
鈴木 最初は私とピアノの竹内朋美先生とピアノ/ヴォーカルの斎藤玲奈先生の3人でした。基本的には大阪芸大の繋がりで、現在プログラムアドバイザーでいてくれる森川美穂先生(大阪芸術大学演奏学科教授)のご紹介とかもありつつ、そこから徐々に増えていった感じです。あとは、けっこうSNSとかで調べました。ギターの葵ミシェル先生とかは、「この先生がウチにいたらいいな」っていうので、DMを送って猛烈アピールしました(笑)。
──こちらのスクールは女性とお子様に対象を限定して、レッスンをやってらっしゃるんですよね。
鈴木 そうなんです。まずは子供たちに、自分が今までやってきたこととか、「音楽は楽しいものだ」って伝えたいんです。やはり自分自身がピアノのレッスンとかで小さい頃にすごく怒られた記憶が多かったんですよね。かなり厳しかった(笑)。でも音楽ってピアノなら「ドの音をピュッと押して音を鳴らせるだけでハッピー」だ。歌だって「フレーズの一部を歌えただけで最高だな!」と思ってるので。NGではなく、それはOKだよ!って感じてもらいながら音楽を指導できたらいいなと考えたので、まずは子供さんを対象にしました。あとは音楽をやる上でも、女性だからこその悩みがあると思うんですよね。例えばギターの場合だとやっぱり女性は身体が小さいので、「どういうサイズのギターを買えばいいか」とか、ギターの持ち方などもそうですね。そういう女性ならではの悩みに応えられるようなスクールにしたいなと思って、子供と女性専用にしました。
──年齢層などは、どんな感じなんですか?
鈴木 スクール全体だと、ウチは今、一番下が2歳から。上の方は60歳までいらっしゃいます。OLさんはそれほど多くないですが、お母様と……あとは50歳以上の方がけっこう多いかもしれません。
──マダムの方々は、どういうモチベーションで来られているんですか?
鈴木 コロナ渦に入って……ギター、ウクレレとか歌もそうですけど、みんながSNSで表現しているのを見て、「私もやりたい」みたいな。子育ても落ち着いてきてからのセカンドライフに楽しみを増やしたいという方が多いように感じますね。
──大人の女性の方には、どういうふうにヴォーカルの指導をされることが多いですか?
鈴木 やはり大人の方だと、だいたい悩みが決まっていて、「ここの高音が出ない」とか、「声量が少ない」とか、「滑舌がうまくできない」とか。そういう悩みを持っていらっしゃる方も多いので、それをどんどん改善していきます。ただ、滑舌が悩みであれば滑舌を先にやればいいわけではなくて、息の流れといったところも含めて、ひとつひとつ悩みをクリアしていけるような、そして自分の好きな歌を気持ちよく歌えるようにレッスンさせてもらっています。
──具体的なレッスン方法としては、先生がピアノを使いながら教えていく感じですか?
鈴木 そうですね。あとは声を出して空気を通じたものが耳から聴こえてくるものと、レコーディングで聴こえてくるものも違うんですよね。人によってはレコーディングのような感じで、ヘッドホンを付けてもらって一緒に波形を見ながら「声はこういうふうになってるんですよ」っていう方法も取り入れています。
──波形で見るのは、タイミングとかですか?
鈴木 はい。あとは息ですね。フワーって大きく吸っているのとか、自分では気づいていないことがあるんです。「こうやって吸うから、アップテンポの曲ではジャストに入れないんですよ」とか。あとはだいたい声のトーンが皆さん低い。本当にちょっとのことなんですけど、少しトーンを上げることによって聴いている人の印象って変わるんですよね。それはみんな、「えっ、こんなに違うんですね」みたいに、すごく感じられてます。何か「ひとつのトレーニングを頑張るぞ!」みたいなことよりも、一緒に研究していく感じもあったりしますね。
──発表会とかイベントも積極的に行なっていますか?
鈴木 ヴォーカルは年に3回やっています。子供たちのミニ発表会、バンドを入れた発表会、あとは大人チームの発表会です。それとピアノだけの発表会みたいに分けて開催しています。
──そこはやはり生徒さんのモチベーションになりますよね。
鈴木 そうですね。コロナ渦に入って学校でも発表する場が本当にないんです。あとは幼稚園や小学生だと、チームではやるけど一人で気持ちを震わせながらステージに立つことってすごく少なくて。こないだピアノの発表があったんですけど、お母様から「内気な子が、このステージを2回踏んで前向きな性格になってきた」とおっしゃられていたので、やっぱりキラキラした場所に立つ時の度胸とかって、すごく成長に繋がるんだなとは思ってます。
──『歌スク』ではどんなレッスンを考えていらっしゃいますか?
鈴木 音楽を通して、歌をうまくするとか音程をとったりとかは当たり前にトレーニングさせていただくんですけど、それ以外に気持ちのモチベーション部分も歌を通してレベルアップできるようにトレーニングさせていただきたいなと思っています。「歌をやってみたい」とも言えないぐらいの内気な子たちでも、「歌はこんなにも楽しくて、こんなにも自分が表現できるんだよ」っていうことを伝えられるようなトレーニングをしていきたいと思っています。
──今回、「歌スク」では大人の方も男女問わずレッスンが受けられるようにしていただけるようですね。
鈴木 はい。男女年齢問わずやらせていただくつもりです。歌に悩みがあって、「ここはどうしたらいいのかな?」っていう方に対してのポイントレッスンになるのかなとは思うんですが、一緒に考えてレッスンしていけたらなって感じですね。あとは弾き語りの1曲マスターのレッスンもやってみたいです。ギターの持ち方も含めて教えますので、初心者の方も大歓迎です。
──楽しみにしています。それでは『歌スク』会員の皆さんにメッセージをください。
鈴木 お子様から大人の方まで幅広い年齢層の皆さんにレッスンさせていただきます。小さい悩みがあったり、「こんなアーティストになりたい」、「こんなふうに弾けるようになりたい、歌いたい」っていうものがあれば、ぜひ皆さんに合うようなトレーニングをさせていただきたいと思ってますので、お待ちしております。
撮影:ヨシダホヅミ
Ladybird Music Lab
■スクール名
Ladybird Music Lab■スタジオ
田町スタジオ
所在地:東京都港区芝5-29-17 MAビル札の辻8階
TEL:050-3138-5139芝浦スタジオ
所在地:東京都港区海岸3-2-15 パークフラッツ芝浦マンション201号室
TEL:050-3138-5139
講師:森川美穂(プログラムアドバイザー)/鈴木友海(ボーカル、アコースティックギター、ウクレレ)/池田真実子(ピアノ)/齋藤玲奈(ピアノ、ボーカル)/高橋遊(ボーカル、サックス)/葵ミシェル(アコースティックギター)/宮下美音(ボーカル、ピアノ)/小笠原実咲(ピアノ、リトミック)/大久保知佳(ボーカル、ピアノ)/竹内朋美(ピアノ)/あびこめぐみ(ボーカル、ウクレレ、三線)/今井里歩(ボーカル、ピアノ)
■ホームページ
https://ladybirdmusiclab.com/